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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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地理的には重なるが

 イエイヌの遺伝子プールには,奇妙なことが起きている。純血種のペキニーズやダルメシアンのブリーダーは,1つの遺伝子プールから別の遺伝子プールへの交雑を妨げるために,ありとあらゆる手を尽くす。何世代にもわたる種付け犬の名簿が残されて降り,純血種ブリーダーにとって混血は,起こってはならない最悪の出来事である。犬の各品種は,あたかも彼ら自身の小さなアセンション島に幽閉され,他のあらゆる犬種から引き離されているかのようである。しかしこの場合,交雑を妨げているのは,青い海原ではなく人間のルールにほかならない。地理学的にはすべての犬種は分布が重なっているが,飼い主が交尾の機会を規制しているために,彼らにとっては孤島で暮らしているようなものである。もちろん,たまにルールは破られる。船に乗ったネズミがアセンション島に密入国するように,たとえば,ホイペットのメスがつながれた紐から逃げて,スパニエルと交尾するのである。しかしその結果生まれた雑種の子イヌは,どんなに可愛いイヌだろうと,純血ホイペットという札のついた島からは放逐される。この島は純粋なホイペットの島でありつづけるのだ。他の純血のホイペットたちが,ホイペットという札のついた仮想の島が汚されることのない存続を保証してくれる。1つ1つの純血種にあてられた人工的な「島」は数百もある。それぞれの島は,地理的にどこにあるかを言えないという意味で,仮想の島である。純血種のホイペットやポメラニアンは世界中の異なる多くの場所で見つかり,ある地理的な場所から別の場所への遺伝子の移送には自動車,船,飛行機が使われる。ペキニーズの遺伝子プールである仮想の遺伝的な島は,ボクサーの遺伝子プールである仮想の島やセントバーナードの遺伝子プールである仮想の島と,地理的には重なり合っているが,遺伝的には(雌が逃げ出した場合を除いて)重なっていない。

リチャード・ドーキンス 垂水雄二(訳) (2009). 進化の存在証明 早川書房 pp.87-88
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