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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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頼れるものは

 20世紀には数多くの変革によりテクノロジーは180度転換し,アメリカの社会構造もまったく姿を変えてしまった。アイデンティティという観念は,現代のアメリカでは代替可能な性質を持つもの,流動的で日々変わり得るものになっている。
 50年前と比べて,アメリカ人は頻繁に引っ越すようになった。大都市から地方都市へ,郊外へと,会社に命じられるままに移動する。平均的なアメリカ人は生涯で11回引っ越しをする。米郵政公社の統計では,毎年4400万人(全人口2億8000万の約15%)が引っ越すそうだ。
 離婚率は1900年の7倍になった。2度,3度,あるいは4度結婚することも珍しくない。こんな時代にあっては,50歳や60歳でも独身で,またデートの駆け引きをしなければならないこともある——そして,相手をうまく誘うには容姿もそれなりによくなければならない。現代人の生活はさまざまな選択を迫られるため,1つのことに集中していられる時間は短くなってしまった。だからここ10年ほどは出会いパーティが大流行だ。独身男女が30秒,60秒刻みで部屋の中を歩き回り,気に入った相手と話をするというものである。
 平均的な大卒者が就職する場合,現在では生涯で少なくとも7つの会社で7つの職種を経験することになる。長年仕事をしていても,町から町へと移動の連続で,同僚とよく知り合えないまま終わってしまうかもしれない。互いの短所や癖など,その人ならではの特色を知る長年の友人や家族はほんの一握り,ということもあるだろう。
 つまり,移動を繰り返す典型的なアメリカ人的生活を送るアメリカ人にとって,もはや周囲の顔ぶれが毎年同じだとは限らなくなっているのだ。自分の世評を名刺代わりとしてあてにできないとすれば,彼らが頼れるものは,容貌と,好意的な第一印象を与える能力しかない。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.116-117
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