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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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どこにもリスクが

 遺伝子組み換え食品に限らず,食品の安全性を確認するのは,実は非常に難しい。多くの人は,動物に食べさせて問題がないか確認すればいい,と考えるが,これが難しいのだ。まず,栄養成分としてパーフェクトの食品はなく,化学物質の毒性評価試験のように大量投与試験をすると,毒性が表れる前に栄養の偏りによる影響が出てしまう。
 また,私たちが日常食べている食品も実は,毒性成分を含んでいる。トマトにはアルカロイド類が比較的多く,これもたくさん食べれば体に害になるし,ヒジキには無機ヒ素が多く,英国などは食べるのを禁じているほどだ。ジャガイモの芽や皮にあることで有名なソラニン・チャコニンは,可食部にも少しだが含まれている。多種類の発がん物質も,野菜など多くの食品が含有している。
 しかも,毒性成分の多くは未知のもの。そして,栽培方法や気候変動などによっても,その毒性成分の数や量,質は変わる。さらに,作物は個体差も非常に大きい。
 結局,遺伝子組換え作物にしても非組み換え作物にしても,リスクがある。その比較を動物に食べさせ行っても,差が出たときにそれが組換え技術由来のものなのか,栽培方法や作物の個体差などほかのファクターによるものなのか,区別するのは困難である。

松永和紀 (2010). 食の安全と環境:「気分のエコ」にはだまされない 日本評論社 pp.179-181
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