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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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ドリフ発のもの

 今ではいろんなバラエティ番組で使われているが,壊れるものの素材にバルサを使ったのも『全員集合』が最初だと思う。模型飛行機で使う薄い板だけど,イスがバリって壊れたり,壁が壊れるコントで素材として使うようになった。以前は発泡スチロールだったけど,それだと粉が飛んじゃうので,美術さんとかと相談して,バルサを使うようにしたんだ。でもあまり『全員集合』で大量に使うから,一時期は模型飛行機用のバルサがなくなったとも聞いた。
 壁にぶつかる時に,すごい音を出すためにトタン板を使うという工夫もした。人がぶつかるスペースの部分だけをトタン板にすると,バーンってものすごい音がする。普通の厚いベニア板だと音があまりしないから,一部分だけをトタンにして,色はベニアの部分と同じものを塗ってわからないようにする。
 壁に顔をぶつける時の音の出し方にはコツがあって,顔が壁に当たる瞬間に,両手のひじから先の部分とつま先を先に壁にぶつけて音を出す。顔を実際にぶつけるわけにはいかないからね。当たった時の音がすごいと,それだけで本当に壁にぶつかったように見える。でも本当に笑いをとるのはリアクションだ。すかさず顔を押さえて「痛えー!」とやる。
 音を響かせる工夫といえば,ころぶコントの時に,床に所作台を敷く方法も『全員集合』で始めたものだ。所作台は歌舞伎で使うもので,靴なんかで乗ったら絶対に怒られるような高価なものだけど,ころぶ場所にだけそれを敷くと,バターンってすごい音がする。
 忠臣蔵のコントで松の廊下の場面をやる時に,加藤さんが後ろから長袴を引っ張られて倒れるのがあるけど,そこですごい音が出るのは所作台を敷いてあるからだ。
 それに普通の材質はそれほど滑らないけれど,足袋をはいていると所作台はよく滑る。だからすーっと滑ってきて,立った姿勢からドーンところがることができる。そうすると動きも派手だし,音もすごいし,効果満点だ。
 『ドリフ大爆笑』で考えたものだけど,スタジオで水槽を使えるようにしたのもドリフの発明だ。人がドボドボ落ちるギャグで使うやつだ。昔はスタジオでは大量の水が使えなかったけど,スタッフと一緒に工夫を重ねて使えるようにした。最初は小さな水槽で試しにやってみて,だんだん大きくしていった。それを今は,他の番組でも平気で使っている。
 そんなことは,きっと今の若いお笑いの連中は知らないんだろうな。

志村けん (2002). 変なおじさん[完全版] 新潮社 pp.70-71
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