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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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IQの伸びの意味

 以上のことから,IQの伸びについてどんなことが言えるのか?

 1.学校は明らかに人を賢くする。学校で知識や問題解決のスキルを学べば,IQのスコアが上がる。IQについて見れば,学校での1年間は年齢2年分に相当する。
 2.IQを測るうえで使われるいくつかの課題を遂行する能力は,時代とともに高まっている。人々が教育を多く受けるようになり,IQのスコアを上げるような種類のスキルへと教育がシフトしていき,大衆文化のなかにも知的興味をそそる面があることを考えれば,それは当然の結果だろう。
 3.IQの伸びのうち一部(理解下位検査や類似下位検査など)は,日常の問題を処理するための知能が実際に伸びていることをはっきりと示している。
 4.IQの伸びの一部は,学力を向上させ,抽象化,論理,その場での推論が関係する課題——産業や科学で直面するたぐいの課題——を解決する能力を伸ばすという点で,極めて重要だ。そのような流動性知能の伸びを測るテストとしては,WISCの積木模様,組み合わせ,絵画配列,絵画完成の各下位検査,およびレーヴン漸進的マトリックスがある。
 5.これらの流動性知能の伸びは,日常の実践的な推論課題を遂行する能力にはたいして寄与しないだろう。
 6.一部のIQ研究者がいまだに主張しているように,レーヴンマトリックスのような動作性,流動性知能のテストが文化と無関係だというのは,IQが伸びていることから考えると明らかに正しくない。このような流動性知能課題には,結晶性知能課題よりさらに文化が染み込んでいる。むしろこれらのテストの伸びを見ると,文化と無関係な知能の指標というものが存在するかどうか疑わしい。
 7.学校教育によってIQのスコアが伸びるのと同じく,社会が重視するスキル——日常生活と,科学や産業など専門的な活動の両方において——が時代とともに伸びていることから考えて,人々は重要な方向へと実際に賢くなれるのだと言える。
 8.最後に,チャールズ・マレーによる2つの極めて悲観的な主張に対して,反論できる証拠がある。マレーによれば,教育が完璧であってもIQ分布の下半分の人々を大きく変えることはできないという。しかし60年間で,下半分の人々の平均IQは1標準偏差分以上伸びており,また,昔からIQの基準として使われているレーヴン斬新的マトリックスの出来も,標準偏差の2倍以上伸びている。マレーはまた,IQの高い人は低い人より少ししか子供を産まないので,母集団の平均知能は下がっていくはずだと言っている。だが証拠によれば,実際にはその逆である。

リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp.71-72
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
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