忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

分類指標としての身体

そもそも人体測定法は,分類の指標として優れているとは言えないのではないか。このような根本的な疑問をイギリスから投げかけてきたのが,フランシス・ゴールトン(Francis Galton, 1822-1911)だった。1888年5月,王立科学研究所において「人の身元確認と特徴記述」と題する講演を行なったゴルトンは,ベルティヨンによる人体測定法の原理を説明しながら,人体のサイズに基づく分類では,十分なばらつきが得られないと指摘する。たとえば足の大きい人間は,手の指も長いことが多いだろう。したがって足の大きさに関して,「大」「中」「小」の3分類のうちの「大」に分類された者の多くは,指の長さについても「大」に分類されることになり,計測箇所を増やしたとしても,結局は一部の分類ばかりに偏りが出ることになってしまう。つまり「身体の計測値は,相互に依存しすぎている」のである。では計測値以外に,個人を特定するのに適した特徴は存在するのだろうか。「微妙な点」にこそ,そうした特徴があるのだとするゴルトンが,「おそらくもっとも美しく,特徴的」だとして紹介するのが,「手のひらや足の裏に,きわめて複雑に,しかし規則的な秩序で並んでいる(中略)小さな溝」,すなわち指紋に他ならなかった。

橋本一径 (2010). 指紋論:心霊主義から生体認証まで 青土社 pp.117-118
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]