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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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SDI構想の問題

 セーガンは兵器の専門ではなかったが,レーガンの提案が映画『スター・ウォーズ』と同じような空想的なものだということは十分わかっていた。理由は単純だ。どのような兵器システムも——実のところ,テクノロジーを用いるどんなシステムも——完璧ではなく,核兵器に対する不完全な防御は価値がないという以上に有害だからだ。これは算数の問題でしかない。たとえ戦略防衛が90パーセント有効でも,10パーセントの弾頭はくぐり抜けてくることになる。ソ連は8000発を超える弾頭とそれを運搬する約2000基の弾道ミサイルを保有していたから,その10パーセントでも1つの国を破壊するのに十分すぎるほどの能力がある。しかし,米国の防衛力にどれほどの効果があるかをソ連が確実に知ることはできないから,確信を得たいがためにさらに多くの兵器を製造する誘引をSDIは提供する。SDIは軍備拡張競争を激化されはしても,歯止めをかけることはない。逆に,SDIは実際に機能するかもしれないとソ連が考えた場合,事態はさらに悪くなる。なぜなら,システムが構築される前に「先手を打って」攻撃したくなるかもしれず,SDIがそもそも防ごうとした最終戦争の引き金になってしまうおそれがあるからだ。

ナオミ・オレスケス,エリック・M・コンウェイ (2011). 世界を騙し続ける科学者たち(上) 楽工社 pp.94
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