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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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プリコミットメント

 プリコミットメントは効果がある。だからカーランは世界の誰もが利用できるstickK.comというウェブサイトを創設した。このサイトはインターネット上のプリコミットメントのスーパーストアと言っていい。カーランがエアーズと一緒に始めたベンチャー企業で,ここで参加者はそれぞれの行動をコントロールする契約を結び,もし違反したら自分で選んだ罰金を支払う。原理的には,作家のトロロープが言うような破ることのできない規則を自分に科すサイトである。もとは勉強家の大学院生の思いつきだが,このサイトには「あなたの契約,請け負います!」というしゃれたキャッチフレーズがつけられている。
 考え方はきわめてシンプルだ。stickK.com(2つ目のKは契約を意味する法律用語の略語だが,野球好きはこの文字が三振を意味することを思い出すかもしれない)には,減量,禁煙,毎日運動することなどのできあいの合意事項がいくつかある。自分で別の契約内容を作成してもいい。そういう登録者も4万5000人いる。条件は自分で決め(20週にわたって毎週1ポンド[450グラム]ずつ減量するというように),違反した場合の罰金を送金し,もし望むなら審査員の名前も登録する。違反するとstickK.comがお金の一部を指定した慈善事業に寄付する。登録者が失敗してもしなくても,stickK.comは一切お金を取らない。
 もっと強いインセンティブを望むなら,stickK.comが「アンチ・チャリティ」と呼ぶ方法を選んでもいい。たとえば,自分が決めた約束を守れなかったら,がんばって働いて貯めたお金をジョージ・W・ブッシュ大統領図書館に寄付しなければならないとすれば,これは約束を守る強烈な動機になるのではないか。stickK.comによると,成功率は85パーセントだという。「stickK.comがやっているのは,良くない行動のコストを高くすることです。あるいは良い行動のコストを低くすること,と言ってもいい」。

ダニエル・アクスト 吉田利子(訳) (2011). なぜ意志の力はあてにならないのか:自己コントロールの文化史 NTT出版 pp.331-332
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