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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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一卵性は…

 ブラックモアは初期の研究で,超常現象を語る場合かならずといっていいほど取り上げられる問題に挑戦した——一卵性の双子はなぜおたがいに霊感が働くように見えるのか,という問題である。超能力の支持者は,その不思議な絆をテレパシーだと思いたがる。かたや懐疑派は,一卵性双生児は同じ環境で育ち,遺伝子型も同じという共通点があるので考えることも似てくる。それでたがいの心が読めるかのように見えるのだと主張する。
 この問題に決着をつけるため,ブラックモアは6組の双子と6組の兄弟姉妹を集め,2部構成の実験をおこなった。実験の第1部は,ずばりテレパシーのテストだった。双子ないし兄弟ペアの片方にテレパシーの「送り手」役を,もう片方に「受け手」役を頼んだ。送り手には自分が無作為に選んだ内容(1から10までの数字,物体,写真など)を,受け手へ念力で送ってもらった。だが結果的に,双子ペアにも兄弟姉妹ペアにも,テレパシーが働いた形跡はみられなかった。
 実験の第2部で,ブラックモアは送り手に1部とはちがう作業を頼んだ。最初に頭に浮かんだ数字を送ること,好きな絵を描くこと,4枚の写真の中から送りたい写真を1枚選ぶことをである。すると,結果が突然変化した。「双子は共通点が多いのでテレパシーが働く」説の予言どおり,双子の答えが急に一致しはじめたのだ。たとえば,1から10までのあいだで数字を思い浮かべるように頼んだところ,双子の2割が,同じ数字を答えたのに対し,兄弟組で答えが一致したのは5パーセントのみだった。絵のほうでも,内容が一致したのは双子が21パーセント,兄弟は8パーセントだった。つまりこの実験によると,双子にテレパシーが働くように見えるのは,双子同士の考え方や行動が非常に似ているためで,超能力ではないのだ。

リチャード・ワイズマン 木村博江(訳) (2012). 超常現象の科学:なぜ人は幽霊が見えるのか 文藝春秋 pp.81-82
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