忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

学んでおいて損はない

 遠回しの話になってしまったが,言いたいことは簡単なことだ。
 「コミュニケーション教育,異文化理解能力が大事だと世間では言うが,それは別に,日本人が西洋人,白人のように喋れるようになれということではない。欧米のコミュニケーションが,とりたてて優れているわけでもない。だが多数派は向こうだ。多数派の理屈を学んでおいて損はない」
 この当たり前のことが,なかなか当たり前に受け入れられない。
 しかし,これを受け入れてもらわないと困るのは,日本人が西洋人(のよう)になるというのには,どうしても限界があるからだ。もしこれを強引に押し進めれば,明治から太平洋戦争に至るまでの過程のように,どこかで「やっぱり大和魂だ!」といった逆ギレが起こるだろう。
 身体に無理はよろしくないのであって,私たちは,素直に,謙虚に,大らかに,すこしずつ異文化コミュニケーションを体得していけばよい。ダブルバインドをダブルバインドとして受け入れ,そこから出発した方がいい。
 だから異文化理解の教育はやはり,「アメリカでエレベーターに乗ったら,『Hi』とか『How are you?』と言っておけ」という程度でいいはずなのだ。

平田オリザ (2012). わかりあえないことから:コミュニケーション能力とは何か 講談社 1354-1362/2130(Kindle)
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]