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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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捏造

 心理学は20世紀の初頭に学問として登場し,移民や黒人の生物学的劣等性の主張に多大な貢献をした。心理学者を他のメンタルヘルス従事者と区別する重要な特徴の1つに,心理テスト,主に知能検査がある。IQテストは,黒人や移民の劣等性の証明にしばしば用いられた。ほとんどの読者は,人種間には遺伝的にIQの差があるという主張(例えばR.J.ヘルンスタインとC.マレーによる「ベル曲線」におけるそれ)を何度も聞いているだろう。対象,方法,技術が変わっても,IQ得点と遺伝についての議論には本質的な変化は生じなかった。ユダヤ人が初めてアメリカに来たとき,彼らのIQの低得点は人種的劣等性のサインと見なされた。経済的,知的レベルが改善して得点が標準より高くなると,そこに彼らの遺伝的優秀性が反映していると主張された。
 高名な心理学者たちが,みずから進んで人種的劣等性の証明をしようとしたことに注目しなくてはならない。IQテストを開発したターマン,バートなどは,黒人のIQ劣等性という神話に貢献した人物である。英国の心理学者シリル・バート(「教育的テストの父」と呼ばれ,その分野での貢献によりナイトの称号を受けた)による研究は,さらにひどい。彼はデータをねつ造し,アシスタントの偽名で論文を書いた。黒人の知的劣等性を主張してきた心理学者でさえもが,首をかしげるような見え見えの捏造であった。データが完璧すぎたので,1840年調査と同様,いかさまは露見してしまった。

ハーブ・カチンス,スチュワート・A・カーク 高木俊介・塚本千秋(監訳) (2002). 精神疾患はつくられる:DSM診断の罠 日本評論社 pp.278

引用者注:シリル・バートのデータ捏造についてはそれを否定する研究者もいる(真偽不明)。また,バートが見出した(「捏造した」とされる)双生児間の相関係数は,後の研究者が見出した値に非常に類似していることも知られている。
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