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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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自由特性理論

 リトル教授(引用者注:Brian Little教授)のような極端に内向的な人物がなぜ人前ですばらしい講演ができるのか,読者の皆さんは不思議に思われるだろう。その理由は簡単だと,彼は言う。そして,それは「自由特性理論」と呼ばれる,彼がほぼ独力で築いた心理学の新理論と関連している。固定した特性と自由な特性は混在すると,リトルは信じている。自由特性理論によれば,私たちは特定の性格特性を持って生まれるが——たとえば内向性だ——自分にとって非常に重要な事柄,すなわち「コア・パーソナル・プロジェクト」に従事するとき,その特性の枠を超えてふるまえるのであり,実際にふるまっているのだ。
 つまり,内向型の人は自分自身が重要視する仕事や。愛情を感じている人々,高く評価している事物のためならば,外向型のようにふるまえる。内向型の夫が愛する外向型の妻のためにサプライズパーティを仕掛けたり,親の学校でPTAのような役員になったりするのは,自由特性理論で説明がつく。外向型の科学者が研究室でおとなしくしているのも,物わかりのいい人物がビジネス上の交渉では頑固になるのも,つむじ曲がりのおじさんが姪にはやさしくアイスクリームを買ってやるのも,すべて説明できる。自由特性理論はさまざまな状況で適用できるものの,とくに外向型を理想とする社会で生きている内向型にぴたりとあてはまる。
 リトルによれば,内容が重要であり,自分の能力に適し,過度のストレスがかからず,他人の助力を受けられるようなコア・パーソナル・プロジェクトに関わるとき,私たちの人生は大きく高められる。誰かに「うまくいっているかい?」と尋ねられて,何気ない返事をするとき,じつは私たちはコア・パーソナル・プロジェクトがどれほどうまく運んでいるかを答えているのだ。

スーザン・ケイン 古草秀子(訳) (2013). 内向型人間の時代:社会を変える静かな人の力 講談社 pp.263-264
(Cain, S. (2012). Quiet: The power of introversion in a world that can’t stop talking. Broadway Books: St. Portlamd, OR.)
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