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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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他の能力の場合は

ハーツホーンとメイは,頭の良い子どもたちが嘘をつくことが少ないのはなぜなのかを説明する際,社会経済的な境遇の果たす役割が大きいのではないかと考えた。より恵まれた上位中流家庭の子弟が知能テストで良い成績を収めていることをかれらは知っていたのだ。また,家庭の文化的なレベル(つまり,子どもが自然に接している芸術や音楽,文学の総量)が嘘に関連しているという証拠も握っていた。家庭の豊かさや家庭の知能指数とは別に,本人の知能指数が重要な決め手となっているのかどうかを見極めるため,かれらは,全生徒が同じように恵まれた家庭の出である私立学校に通う子どもたちを調査した。その結果,同じように家庭に恵まれていても,知能指数の程度によってカンニングするかしないかの率が変わることを突き止めた。
 なぜ,頭の良い子どもはカンニングをしないのだろうか?かれらはカンニングをする必要がないのかもしれない。自分がカンニングや嘘に頼らずとも良い成績が取れる卓越した知性の持ち主であることを知っているのだ。もしもそうした説明が正しいとすれば,自分の並外れた知力が役に立たないと思われるような状況下でテストを受けた場合,かれらも知能指数の低い子どもたちと同じようにカンニングするかもしれない。ハーツホーンとメイはそう推測した。驚くまでもないが,パーティゲームや運動能力測定,あるいは機械の技能テストにおいて不正をするかどうかは,知能指数の善し悪しに関係ないことをかれらは発見した。つまり,こういうことだろう。どんな才能であれ,何かに秀でた才能を持っている子どもは,その才能が成功を保証してくれる可能性が高ければ,ごまかす確率は低いということである。運動能力に恵まれた子どもなら,運動能力がテストされる場合に不正をする可能性は低いはずだとわたしは考えているが,私の知るかぎり,こうした研究を行った者はまだいない。

ポール・エクマン 菅靖彦(訳) (2009). 子どもはなぜ嘘をつくのか 河出書房新社 pp.71-72
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