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読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

理論と現実

ここで目下の疑問が首をもたげる——統計学を何らかの単純明快な形で用いて,精神の正常を定義することはできるのだろうか。ベル形曲線は,だれが精神的に正常で誰がそうでないかを判断する科学的な指針になるのだろうか。理論的には答は「当たり前だ」だが,現実的には「とんでもない」である。理論的には,最も障害の重い人たち(全人口の5パーセントでも10パーセントでも30パーセントでもいいが)が精神疾患で,残りは正常だと勝手に決めることはできる。そして調査法を開発し,あらゆる人にスコアをつけて,ベル形曲線を描き,境界線を定めて,病人にレッテルを貼ることだってできる。だが現実的には,けっしてそんなふうにはならない。統計,状況,価値にまつわる判断があまりにもたくさんあって,統計学による単純な解決を妨げるからだ。

アレン・フランセス 大野裕(監修) 青木創(訳) (2013). <正常>を救え:精神医学を混乱させるDSM-5への警告 講談社 pp.38

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