I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

屈折した思い

もちろんこの華やかさが独特の残酷さを伴うものであったこともたしかだ。例えば,1980年代のギャグ漫画ブームを牽引した作家の1人,相原コージが執拗に描き出したのも,そのような残酷さであった。彼が描き出す青年は,何とかおしゃれな生活に参加しようとして,例えばおしゃれなお店におしゃれな服を買いにいくのだが,そこで客によってくる店員さん(ちなみにハウスマヌカンなどと当時呼ばれていた)のあまりのおしゃれぶりに,自分がバカにされているのではないかという劣等感や不安に打ちのめされて,必要のないものを買わされたり,あるいはそもそも店に足を踏み入れられなかったりする。このようなシーンがギャグ漫画の定番の位置を占めていたという事実が示唆しているのは,舞台の上で展開されるおしゃれな光景の背後に,あるいはその下に,舞台に上がりたくても上がれなかった多くの人々の屈折した思いが鬱積していたのではないかということだ。

浅野智彦 (2013). 「若者」とは誰か:アイデンティティの30年 河出書房新社 pp.44

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