こうした傾向は,恋人募集広告の分析ではない調査からも見て取れる。テキサス大学オースティン校の心理学者デヴィッド・バスは「お相手選び」研究の第一人者だが,1989年,彼は結婚に関するさまざまな好みや傾向を調べる大規模なアンケートを実施した。対象になったのは,オーストラリアからザンビア,中国からアメリカまで37カ国の1万人以上である。アンケート結果を分析したところ,国や文化に関係なく,男性よりも女性のほうが相手選びの好みがうるさく,社会的な条件や本人の性格,資質といった数多くの基準で候補者を評価していることがわかった。女性は候補者の社会的地位や収入を条件からはずすことはぜったいにないのだ。いっぽう男性が相手選びで優先させるのは,女性の若さであり,外見だった。
ロビン・ダンバー 藤井留美(訳) (2011). 友達の数は何人?:ダンバー数とつながりの進化心理学 インターシフト pp.82
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