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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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「パラドックス」という言葉を使う時

 英語で書かれた日本に関する文献を概観したネイサン・グレイザーも,アメリカの社会科学者はおしなべて,一様な議論を繰り返してきたという。その内容は,日本が逆説的な矛盾に満ちており,何が起こるか予測のつかない,奇妙な社会である,という点にある。
 もっとも,よく考えてみると,日本社会の逆説性とか非予測性とかの言葉は,しゃれた概念のように見えるが,実はよくわからないということの言い換えだともいえる。お互いに矛盾しているかに見える2つ以上の現象の説明がつかなくなると,これをパラドックスと呼んだり,仮説から導かれる当然の結論と反対の現象が発生すると,「日本社会は意外性に富んでいる」などというのは,日本社会を説明する理論の不在を告白しているだけのことかもしれない。

杉本良夫&ロス・マオア (1995). 日本人論の方程式 筑摩書房 p.53
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