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読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

記憶と歴史

権力者が自分の都合の良いように公的記録=歴史を書き替えることは昔から行われてきた。しかしオーウェルが『1984年』で問題にしたのは,個人的な記憶が集合的な記憶としての歴史の中で果たす役割である。記憶喪失をモチーフとしたそれまでの小説や映画では,個人的な記憶が失われてしまうことは,その個人の問題だった。もちろん『独裁者』における浮浪者チャーリーや『無言の祈り』のハンブルトンのように,記憶を失った主人公が歴史の重大な岐路に直面することはある。ただしそれは,特権的な個人と歴史との関わりとして示された。これに対して「ビッグ・ブラザー」は,人々が持つ膨大な個人の記憶の領域にまで入り込み,それらを改変しようとする。そして模造され,埋め込まれた個人の記憶によって集団の歴史が作られる。

小田中章浩 (2013). フィクションの中の記憶喪失 世界思想社 pp.116

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