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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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宇宙人存在の確率

私たちの銀河には約1000億個の星があり,その10分の1の星に惑星があると考えられている。これらの約100億個の星のなかで,その星の生命ゾーンのなかに惑星を持っているのは,たぶん100個に1個だろう。生命ゾーンということは,その溶媒が水,メタン,その他の何であれ,煮立ったり凍ったりしていないことを意味している。これで,私たちの銀河内で生命を育むことのできる星は,約1億個にまで絞られた。その大半は太陽よりもかなり小さな星なので,姓名を持つ惑星として考慮に値する候補者は約10分の1である。それでも私たちの銀河のなかに,生命を維持することのできる星が1000万個もあることになる。そのうち10分の1はすでに生命を生み出しているだろう!私たちの銀河のなかに,生命のいる惑星を持つ星が,実際に100万(10^6)個あると仮定しよう。それなのにその証拠が何も発見されないのはなぜだろうか。
 第1の理由として,私たちの銀河が非常に大きいことがあげられる。銀河の容積は約10^14立方光年もある(光は秒速30万キロメートル,1光年は約10兆キロメートルに相当する)。したがって,100万個の星のそれぞれが,平均して10^14/10^6立方光年の容積を持つことになる。生命を持つと考えられる星は,10^8立方光年にひとつしか存在していないのである。10^8の立方根は約500。つまり,生命を持つ星から,もっとも近い別の生命を持つ星までの平均距離が,500光年ということになる。これは地球と月の距離の100億倍に当たる。たとえもっとも近い「隣人」が平均距離よりもかなり近くにいるとしても,そこまでの距離は,おしゃべりをするためにちょっと立ち寄るには遠すぎる。
 ほかの星に生命があるとしても,私たちが彼らに会えるとはとても考えられない第2の理由がある。それは,文明が出現しても,いつかは滅亡してしまうということである。一度複雑になった生命は,本質的に不安定なもので,数千年以内に自滅してしまう,ということも考えられる。このように進んだ生命形態が,平均して1億年存続するとしても(初期の哺乳動物から20世紀の核による破局まで),これらの生命形態は,120億年から150億年といわれる銀河の歴史のなかに一様に分布している。そこで,同時に進んだ生命を持っている銀河内の星は,1万個以下になってしまうだろう。そして,隣人動詞の平均距離は,2000光年以上に広がってしまう。
 旅行者がやって来ない第3の理由は,私たちの銀河内の惑星の多くで生命が生まれているとしても,彼らが私たちに興味を持つ可能性は低い,ということである。その生命形態は,メタンガスの大きな雲,自分で方向を決める磁場,ジャガイモのような生き物でできた大平原,複雑なシンフォニーをつねに歌っている巨大な惑星サイズの固まり,岩に付着した青カビのようなものかもしれない。ここであげたような生命形態が,私たちと同じ目的や意思を持ち,私たちに接触しようと試みるとは考えられない。
 つまり,私たちの銀河のなかに生命の住む惑星があるとしても,UFOの目撃は,単に未確認飛行物体の目撃にすぎない。未確認ではあるが,それは宇宙人ということではない。

ジョン・アレン・パウロス 野本陽代(訳) (1990). 数字オンチの諸君! 草思社 pp.85-87
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