忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

水の汚染

下水が水道に染み込むということは,「飲料」水が「死んだものであれ生きているものであれ,有機物,動物,植物でひどく汚染」されているのを意味していた。『ランセット』の報告に載っている銅版画は,その汚染を不快なほど微細に図解していた。1850年,ハッサルは胸が悪くなるような微生物の多色の挿図付きの本,『ロンドンおよび郊外の住民に供給されている水の顕微鏡検査』(1850)を出版した。『パンチ』はハッサルの挿図を誇張した漫画を載せた。「ロンドンの水の1滴」は,頭蓋骨,亀,人間そっくりの微生物,墓石で満ち溢れている。実のところ,それは真実から遠く離れてはいなかった。例えばハッサルは,ウェスト・ミドルセックスの水が,下水から流れ込んできた藻と菌のほかに,無数の小さな蟹のような生物(切甲類)で汚染されているのを発見した。わが社の水は「四季を通じて透明で純粋」だと水道会社は謳っていたにもかかわらず。ハッサルが指摘したように,水の汚染の問題は単にそれだけにとどまらず,混ぜ物工作においても問題だった。「なぜなら,牛乳,ビール,蒸留酒の場合,ロンドンでもっぱら使われる混ぜ物がテムズ川,またはその他の不純な水だからだ」。人は生水を飲むのを避けるほど用心深くとも,水で薄めたビールを飲めば,やはり汚染された水を飲むことになった。

ビー・ウィルソン 高儀 進(訳) (2009). 食品偽装の歴史 白水社 pp.167-168
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]