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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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毒を盛るな

医師の倫理規定である「ヒポクラテスの誓い」には,医師が人に毒を盛ることをわざわざ禁ずる項目がある。これは私たちの目には奇異に映るが,ローマ人にとってはそうではなかった。ローマ人は医師は好きではなかったが毒は好きだったし,毒の使い方をよく知る医師も重宝されていたのだ。ローマの上流階級の人々を鋭く観察していた詩人ユウェナリスは,何かを得ようと思うものは誰でも毒殺の名手でなければならないと書き,その証拠として,ある女性の失敗をあげている。彼女は夫を毒殺しようとしたが,夫があらかじめ解毒薬を飲んでいたため,結局刺殺しなければならなかった。もちろん,妻に毒を盛った夫もたくさんいたし,母親たちは恩知らずの子供を毒殺したものだった。

ネイサン・ベロフスキー 伊藤はるみ(訳) (2014). 「最悪」の医療の歴史 原書房 pp.26
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