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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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イングランドのチーズ

19世紀初めごろ,イングランドの主要なチーズのほぼすべては2つのカテゴリーに分類することができた。チェシャーに代表される北部地域のチーズは,非加熱で圧搾前に塩を加え,高い圧力で圧搾する技法で製造された。南部地域のチーズはチェダーを筆頭に,スコールディング(加熱)技法と,圧搾前に加塩してその後高圧で圧搾する方法を組み合わせて使用した。北部のチーズはスコールディングのステップを踏まないので,南部のものよりも幾分か水分率が高いチーズになった。また酸味が強いのが特徴であった。
 さらに酸味が強くて高い評価を得ていたスティルトン・チーズが,18世紀の半ばに注目を集めるようになっていた。スティルトンの製造者はチェシャーチーズと同様,カードを圧搾する前に加塩する技法を用いていた。おそらくチェシャーチーズからアイディアを借用したのだろう。しかしチェシャーのように高圧でプレスするのではなく,工程の間じゅうホェイの排出をむしろ制限する方法をとっていた。大型円筒型のスティルトンは,熟成の過程でも,そのサイズと形から,蒸発による水分の減少を制限するものだった。その結果,目が粗く,水分の多い,酸味の強いチーズになり,涼しくて湿度の高い環境で熟成させると,内側からも,外側からもカビが発生した。このチーズは非常に水分が多くて柔らかいため,熟成の間,円筒型がだれたりゆがんだりしないように,巻き布で締め固める必要があった。
 熟成時に外側を保護するためのカバーとして巻き布を使用した最初のチーズは,おそらくスティルトンだったと思われる。

ポール・キンステッド 和田佐規子(訳) (2013). チーズと文明 築地書館 pp.237-238
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