I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

時計の進化

 現代の時計はもちろん日時計から進化したものである。そして時計が発祥した北半球では,日時計の柱(vane)の影は文字盤上を「太陽回り」で動いていき,これを私たちは現在「時計回り」と呼んでいる。しかし,ひとたび日時計が手動の時計仕掛けに取って代わられると,時間を太陽回りで表す理由はただちに消滅した。にもかかわらず,この段階では,人々の時間表現の習慣はすっかりしみこんでしまっていたため,結果として,地球上のほとんどすべての時計がいまだに太陽回りの動きを使ってるのである。
 しかし,ここで,議論のために,私たちが現代の時計を直視することになり,そして根っからのダーウィン主義者として,なぜその針が今のような動き方をするのか理由を知りたがっていると仮定してみてほしい。感覚の場合と同じように,問いを提起すべき2つのレベルがあるだろう。
 もし,そもそもなぜ時計は針をもっているのかについて問うのであれば,答えは比較的単純である。何らかの形で時間の経過を示すために,時計はある種の針をもつ必要がある----ちょうど私たちが,体表に与えられた刺激を何らかの形で表象するためにある種の感覚をもつ必要があるように----のは,明白である。
 しかし,時計の針がなぜ今のように時計回りで動かなければならないのかについて問うならば,答えはもっと深いものになるだろう。なぜなら,現在では,時間を表すと言う職務は,逆向きに回転する動きでも同じようにうまく果たすことができる----ちょうど,感覚刺激を表象するという職務が今日では質(クオリティ)を逆転させた感覚によっても十分に果たせるのと同じように----からである。実際,すでに見たように,時計に関するこの第2の問いは,それに先立つ歴史を参照することによってのみ答えることができる----ちょうど,私が感覚についてこれから論じようとするように。

ニコラス・ハンフリー 垂水雄二(訳) (2004). 喪失と獲得 進化心理学から見た心と体 紀伊国屋書店 p.115-116

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