忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

サルの精神異常

ひとつのケージに1匹のサルを収容するという標準的な飼育環境によって生じたのが自滅的な行動ならば,完全な隔離からはさらに悪い結果が生じた。それが精神異常だったのである。言うまでもなく,これらのほとんど麻痺した状態のサルたちは,正常な性的関係を結ぶことができなかった——というより,どんな関係も結ぶことができなかった。研究室のメンバーが機能不全の雌を縛りつけて「受け入れ」の体勢をとらせてみると,ただでさえ不安定なサルの数匹を妊娠させることができた。その結果は,「社会的知性」を持たない動物がどれほど危険になりうるかを,このうえなく知らしめるものだった。「もっともひどい悪夢の中でも,ここに実在する母ザルほど邪悪な代理母を設計することは不可能だろう」とハリーは書いた。「愛というものをまったく経験したことのないこれらの母ザルは,赤ちゃんに対する愛情を欠いていた。残念ながら,人間の場合でも,その感情が欠如した人があまりにも大勢いる」。愛のない母親のほとんどは,子ザルを無視するだけだった。しかし不幸なことに,全員がそうだったわけではない。ある母親は,赤ちゃんの顔を床に押しつけ,手足の指を噛みちぎってしまった。もう1匹は,赤ちゃんの頭を口の中に入れて噛み潰してしまった。それが強制妊娠の結末だった。

デボラ・ブラム 藤澤隆史・藤澤玲子(訳) (2014). 愛を科学で測った男 白楊社 pp.285-286
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]