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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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性的指向と人種

性的指向に関する知覚は,私たちにとって重大問題で,ときに悲惨な結果をもたらす。アメリカでは,マイノリティーの同性愛者は憎悪犯罪(ヘイトクライム)の標的になりやすく,アフリカ系では約2.5倍,イスラム教徒では約4.5倍にものぼり,その傾向はますます顕著になっている。
 同性愛者に対する否定的な考え方は,研究室でおこなわれた実験にもはっきり表れている。トロント大学の研究者は,民族性との相関関係という観点から,同性愛者と異性愛者に対する見方をテストした。インターネットのデートサイトに掲載された男性の顔写真を,その男性の性的指向を伏せて,被験者に見せた。写真の男性は次の4つのいずれかにあてはまる。

1.異性愛者の白人男性
2.同性愛者の白人男性
3.異性愛者の黒人男性
4.同性愛者の黒人男性

 それぞれの写真を見せて,被験者に「平均的なカナダ人にとって,この人はどのぐらい好ましい男性か?」と尋ねた。
 異性愛者の白人男性は,異性愛者の黒人男性に比べて,はるかに好感度が高かった。性的指向と民族性の関係を考えるにあたって,ひじょうに興味深い結果だ。また,同性愛者の白人男性よりも異性愛者の白人男性のほうが,はるかに好ましいという結果だった。黒人男性に関しては,真逆の反応だった。異性愛者の黒人男性より,同性愛者の黒人男性のほうが好感度が高かったのだ。被験者が写真の男性の性的指向を知らないことを,いま一度思い出してほしい。また,写真の男性の中に同性愛者がいると指摘した被験者はいなかった。
 この実験結果に私は大いに興味を抱いた。なぜなら,性的指向に関する無意識の予測と,意識的に知覚する差異——たとえば人種など——が相まって,人に対する印象に影響を及ぼしているからだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.49-50
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