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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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青い血

中学校の生物の教科書か,教室の壁に貼られていた色鮮やかな人体解剖図をちょっと思い浮かべてほしい。人間の循環器系の正面図と背面図が両方載っているものだ。赤い動脈は酸素をたっぷり含んだ血液を全身に運び,青い静脈は酸素を使い果たした血液をまた心臓や肺に戻して補充する役目を果たしている。そのため,手の甲にある青く浮き出た静脈を切っても,大気中の酸素に触れたとたんに,血は真っ赤になる。
 タコがからんでくると,もっと話は複雑だ。タコの血は酸素を含んでいる場合は青く,酸素が欠乏してくるとだんだん色味が薄れて透き通ってくる。人間の血が赤いのは(ほかの動物をはじめ,ほかの哺乳類でも)鉄分を含んでいるからだ。酸素を運ぶのに役立つヘモグロビンの生成には,血液中の鉄分が欠かせない。ところが,高知のように酸素濃度が低いところでは,このシステムでは効率が悪い。カブトガニやほかの軟体動物をはじめ,海底で生活するタコのような生物は,血液中の酸素運搬物質としてまったくちがう手段を利用することで,低酸素問題を解決している。鉄ではなく銅を含むタンパク質,ヘモシアニンだ。
 だが,ウッズホール海洋生物研究所の研究主幹ロジャー・ハンロンに言わせれば,ヘモシアニンを採用して“ろくでもない青い血”になったせいで,タコは海の酸性化に弱くなってしまった。タコの場合,酸素運搬能力はpH値に対して過敏に反応する。つまり,少しでもpH値が低下して酸性に傾くと,血中のヘモシアニンの酸素運搬能力は大幅にダウンしてしまうのだ。pH値が低いと,タコは十分な酸素を末端の組織まで行き渡らせることができず,酸欠死することになる。魚のようにヘモグロビンを利用している動物と比べると,タコや頭足類はこうした変化にうまく対処できないのだそうだ。気候変動で海の酸性化に直面している現在,それはかなり致命的な欠点となりかねない。

キャサリン・ハーモン・カレッジ 高瀬素子(訳) (2014). タコの才能:いちばん賢い無脊椎動物 太田出版 pp.78-79
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