I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

急速なギアチェンジ

前述したように,現代社会ではストレス要因のほとんどは,「闘争・逃走反応」を進化させたような短期的で生死にかかわるものではない。私たちは,毎日相も変わらず横柄な上司に仕え,長い時間をかけて通勤し,健康管理や退職後の生活について心配し続け,社会的孤立をずっと抱いていることがある。しかも,今やこうした継続的ストレス要因を生涯にわたって経験するのであり,その年月を平均すると,人類の誕生からほんの数世紀前までは標準的だった寿命の長さを優に超える。現在の環境は,進化的な適応をしていたときの環境とはまったく違うのに,私たちの自律神経系の反応は変わっていない。人間の体は現代生活の低次元の慢性的なストレス要因に対して,依然としてまるで命がけで戦っているかのような生理的反応を示し,70歳になってもゴルフやテニスをしたり,80歳になっても長時間の散歩を楽しんだりしたいという思いとは裏腹に,そのための余力を残しておこうという配慮などまったく見られない。こうした極端な反応は,私たちが直面しているストレス要因に対処するのに必要な代謝量をはるかに超えている。それにもかかわらず,私たちはしきりに急激なギアチェンジをして不必要なまでに高速を出し,そのたびに,その埋め合わせとして低速ギアへのシフトを求められ,こうして長年にわたってくり返される過激なギアチェンジ(アロスタティック負荷)が積み重なり,ろくな見返りも得られぬままに,高い代償を払わされることになる。

ジョン・T・カシオッポ&ウィリアム・パトリック 柴田裕之(訳) (2010). 孤独の科学:人はなぜ寂しくなるのか 河出書房新社 pp.142

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