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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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人間の要因

データの質に関する最も差し迫った問題は,データを利用する人間の無知である。経済統計の妥当性,信頼性を分析する能力を最も備えている学者たちは,しばしば自分自身データの利用者であり,したがって学者の仕事にとって不可欠なデータセットの土台を崩すことには消極的である。データへの懸念を表明するとしても,通常,脚注で慎重な言い回しで警告するのがせいぜいである。国際機関がデータの主要な提供者であり,発信者であるが,彼らのプログラムや計画はしばしばターゲットや指標と結びついている。そのため,実際的なアプローチはデータを額面通り受け入れることから始まる。私的に,あるいは技術的な協議においては助言が与えられるかもしれないし,データ作成の段階で直接的圧力が加えられることがあるかもしれない。また,国内政治の場で,この問題について透明な議論が行われることはほとんど,もしくは,全くない。経済的リテラシーの欠如が問題であり,統計が国内議論の最重要項目となる場合には,技術的議論は政治課題へと移行する。こうして,データの質の問題は二重に曖昧にされるのである。

モルテン・イェルウェン 渡辺景子(訳) (2015). 統計はウソをつく:アフリカ開発統計に隠された真実と現実 青土社 pp.38-39
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