忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

誰がやったのか

ところで,中心となってこれらの実験を計画し,進めたのは本当にプングストだったのだろうか。ドイツの心理学者ホルスト・グントラッハは事の真相に疑問をもち,従来いわれていた経過にいくつか矛盾があるのを指摘している。たとえば,プングストは何年も博士論文に取組んできたのに,結局は論文を仕上げなかった。どうして,「賢馬ハンス」についての研究を論文として提出できなかったのだろう。そもそも,研究助手でさえないプングストが,どうして単独で本の著者になったのだろうか。教授が学生の著作に名前を連ねるのは,ごく当たり前の慣習である。彼はその後一冊も本を書かなかったし,論文すらほとんど発表しなかった。グントラッハは,この本の大部分を書いたのは実はプングストではなく,彼の教官のカール・シュトゥンプだと考えている。だがシュトゥンプは,それ以上ハンスとかかわりたくなかったのだ。ハンスの秘密が暴露されたときに,シュトゥンプと同じ心理学者たちや報道機関が,何カ月間もハンスの奇跡的能力を信じていたシュトゥンプを馬鹿にしたからである。

レト・∪・シュナイダー 石浦章一・宮下悦子(訳) (2015). 狂気の科学:真面目な科学者たちの奇態な実験 東京化学同人 pp.61
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]