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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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情報時代のマグナカルタ

誤り訂正符号は1940年代にはすでに存在していた。電子コンピュータ自体が誕生してからそれほど時間が経っていない。あとから考えると,その理由は割と簡単にわかる。初期のコンピュータは信頼性が低く,その部品は頻繁に誤りを生み出していた。しかし,誤り訂正符号の本当のルーツはもっと古く,電信や電話などの通信システムの頃からあった。だから,誤り訂正符号の開発のきっかけとなった2度の事件がともにベル研究所で起きたのは,驚くべきことではない。この物語のヒーローであるクロード・シャノンとリチャード・ハミングは,ともにベル研の研究員だった。ハミングにはすでに登場してもらっている。現在ハミング符号として知られる最初の誤り訂正符号が発明されたのは,ベル研のコンピュータが2回の週末にクラッシュするのにハミングがうんざりしたことからだった。
 しかし,誤り訂正符号は,「情報理論」というもっと大きな学問分野の一部に過ぎない。そして,ほとんどのコンピュータ科学者は,情報理論という学問分野の起源を1948年のクロード・シャノンの論文に求める。「The Mathematical Theory of Communication」(通信の数学理論)というタイトルのこの傑出した論文は,シャノンのある伝記作家が「情報時代のマグナカルタ」と呼んでいるほどのものである。アービング・リード(後述のリード=ソロモン符号の共同発明者)は,この論文について,「科学技術にこの論文以上に大きな影響を与えた仕事は,この世紀にはほとんどない。彼は通信理論と実践のあらゆる側面をもっとも深いところから刷新したのである」と言っている。このように高い評価が与えられているのはなぜだろうか。シャノンは,ノイズが多く誤りを引き起こしやすい回線を使っても,驚くほど高い確率で誤りのない通信を実現することが原則として可能だということを数学を通じて示したのである。シャノンが理論的に割り出した通信の最高速度を科学者たちが実際に実現したのは,それから何十年も後のことだった。

ジョン・マコーミック 長尾高弘(訳) (2012). 世界でもっとも強力な9のアルゴリズム 日経BP社 pp.122-123
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