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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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青年期と精神疾患

青年期は特殊な時期で,いくつかの精神疾患は,この時期から発症しはじめる。ちょっとした驚きだが,精神疾患になるには,ある程度,脳が成熟する必要があるのだ。実際,多くの気分や情動の障害には,前頭葉,特に前頭前野の異常が関わっていることがわかっている。そして,ティーンは前頭葉が他の領域と十分につながっていないので,前頭葉の異常がもたらす統合失調症になるはずがないのだ。統合失調症が,幼少期には見られず,10代後半から20代前半に始まるのは,前頭葉の未成熟さが一因になっているのだろう。
 もう1つ興味深いのは,青年期では,喘息や糖尿病より,精神疾患になる人のほうが多いということだ。ティーンの5人に1人は,日常生活に影響するほどの,精神や行動の不調を抱えている。さらに驚くべきことに,精神疾患の約半分は,青年期に発症する。12歳から16歳までの青少年のうち,自殺を考えたことがあるのは,女子の20パーセント,男子の10パーセントにのぼる。ティーンと若年成人の死因は,トップが自動車事故で,それに続くのが自殺なのだ。青年期においては,薬物やアルコールの乱用,危険な行動,学業成績の急低下,さらには頻繁な健康問題といったことさえ,抑鬱や他の精神的ストレスの兆候かもしれないし,ひょっとすると,深刻な精神疾患の危険信号という可能性もある。

フランシス・ジェンセン エイミー・エリス・ナット 渡辺久子(訳) (2015). 10代の脳:反抗期と思春期の子どもにどう対処するか 文藝春秋 pp. 206-208
(Jensen, F. E. & Nutt, A. E. (2015). The teenage brain: A neuroscientist’s survival guide to raising adolescents and young adults. New York: Harper.)
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