1963年にユージン・ガーフィールド博士が,数年間にわたる実験研究をへて,彼が設立したThe Institute for Scientific Information (ISI) 社から引用索引を創刊した。引用関係をたどることで,必要な文献を探し出す独創的な方法であり,コンピュータ技術の優れた応用であると多くの人々が認めた。同時に,引用索引から副産物として生成された,被引用回数についての雑誌別の順位リストは,科学界で頻繁に引用された回数の総計だけでなく,各雑誌の1論文あたりの平均被引用回数を意味するIF(インパクトファクター)によるランキングも提示した。博士が最初にIFの考え方を提案したのは,1955年の『サイエンス』においてである。科学界がいかに重要誌を識別するために,さまざまな試行を蓄積してきたかをたどりながら,当時世界の主要科学誌の引用文献データを集約することで構想された引用索引の有用性が,IFのアイデアとともに示されていた。なお,忘れられがちであるが,IFを含む引用データによる雑誌評価を生み出した当初の動機は,ISI社内において,引用索引や目次速報誌(Current Contents)に収録するための重要誌を識別するための内部的なものであった。
山崎茂明 (2007). パブリッシュ・オア・ペリッシュ:科学者の発表倫理 みすず書房 Pp.94-95
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