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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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「努力と才能」観

 「新しい従業員を雇うとします。知的能力が高いことと,勤勉であることでは,どちらのほうが重要だと思いますか?」


 この場合,「勤勉であること」と答える人は,「知的能力が高いこと」と答える人の5倍近くにものぼる。


 こうした調査結果は,心理学者のチアユン・ツァイがプロの音楽家を対象に実施したアンケート調査の結果とも一致している。音楽家たちも,同様の質問に対してほぼ例外なく,「生まれながらの才能」よりも「熱心に練習すること」のほうが重要だと回答した。


 しかし,ツァイがある実験でもっと間接的な方法によって人びとの心理的傾向を調査したところ,正反対の結果が表れた。その実験では,参加者(やはりプロの音楽家たち)に対し,同等の実績をもつ2名のピアニストのプロフィールが紹介された。つぎに参加者たちは,その2名のピアノ演奏を収録した短い録音を聴きくらべた。しかし実際には,あるひとりのピアニストが,同じ曲のべつの部分を演奏している。


 参加者にとって明らかな唯一の相違点は,2名のピアニストの紹介のしかたにあった。ひとりは「才能豊かで,幼少時から天賦の才を示した」とあるいっぽう,もうひとりは「努力家で,幼少時から熱心に練習し,粘り強さを示した」とあった。


 するとこの実験では,先ほど紹介したアンケート調査の結果(才能よりも努力が重要)とは矛盾する結果が出た。音楽家らは,「天賦の才」に恵まれたピアニストのほうが,プロの演奏家として成功する確率が高いと評価したのだ。



アンジェラ・ダックワース 神崎朗子(訳) (2016). やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める「究極の力」を身につける ダイヤモンド社 pp.43-44


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