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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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停滞の理由は同じ

 このような青銅時代の帝国では,商業は繁栄の源であって,繁栄の現れではなかった。にもかかわらず,自由貿易区は帝国に支配されやすい。交易の生んだ富はほどなく,税と規制と独占によって,少数の人びとの贅沢と多数の人びとの弾圧に流用されるようになる。紀元前1500年までに,商業活動が次第に国有化されるにつれ,世界で最も豊かな地域が宮廷社会主義による停滞に沈んでいったと言える。エジプト,ミノス,バビロニア,そして殷の独裁者が支配した社会は,統制が厳しく,官僚支配が行きすぎ,しかも個人の権利が弱く,支配者は技術革新を抑圧し,社会刷新を締め出し,創造性を罰した。青銅時代の帝国が停滞した理由は,国有企業が停滞する理由とまったく同じだ。独占企業では慎重な態度が報われ,実験的な試みは阻まれ,収入は次第に生産者の利益に取られて消費者の利益が犠牲にされるようになる。専制君主によって実現したイノベーションは,イギリスの国有鉄道やアメリカの郵政公社によって実現したイノベーションと同じくらい数が少ない。



マット・リドレー 大田直子・鍛原多惠子・柴田裕之(訳) (2013). 繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史 早川書房 pp.260-261


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