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読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

ヒトは進化のカメ

 抗生物質は,バクテリアがそのライバルであるバクテリアを殺すために自然に生産する化学物質である。しかし,人間が抗生物質を使用し始めると,バクテリアは抗生物質への抵抗力を,人間をがっかりさせるような速度で発達させていくことがわかった。病原菌の抗生物質に対する抵抗力には,注目すべきことが2つあった。1つは,抵抗力の遺伝子が1つの種から別の種へ,害のない腸内細菌から病原菌へと飛び移るらしいということであった。それは性と似たような遺伝子転移の一形態によっていた。2つめは,バクテリアの多くはその染色体上にすでに抵抗遺伝子をもっているらしいということだった。要は,それを活性化する秘訣を再発明するだけのことだった。バクテリアと菌類のあいだの軍拡競争により,多くのバクテリアは抗生物質と戦う能力を獲得することになった。それは人間の腸内にいるかぎり,もはや「必要になるだろうとは思いもしなかった」能力である。


 寄生者の寿命は宿主に比べて非常に短いので,寄生者は宿主よりも速く進化し,適応していくことができる。HIVウィルスの遺伝子は,この先10年ぐらいのあいだに,人間の遺伝子が1000万年に行うほどの変化を遂げるだろう。バクテリアにとっては,30分は一生にも匹敵する。30年という人間の世代時間は永遠にも等しいものであり,ヒトは進化のカメなのだ。



マット・リドレー 長谷川眞理子(訳) (2014). 赤の女王:性とヒトの進化 早川書房 pp.121-122


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