I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

椅子取りゲーム

 経済学では,所得と成長,通貨供給量と信用,インフレ,国際収支,資本市場,公的債務の分析にこうした「会計報告」の類いが欠かせない。これらの数字は(分析目的でデータを収集する人に比べると),実施に経済活動に従事している人にとっては,往々にして把握しにくい。


 この状況は,別々の部屋にたくさんの椅子が置かれて大勢のプレーヤーが繰り広げる椅子取りゲームに似ている。人々は個別に行動しており,気づかれないうちに椅子が取り除かれたり,新しいプレーヤーが加わって新たな椅子が追加されたりする。プレーヤーにわかっているのは,すばやくやらないと,音楽が止まったときに坐る椅子がなくて退場させられてしまうことだけだ。だから誰もがせかせかし,のろくさい人がいると苛立つ。椅子の数が人の数より少ないことがつねに頭から離れないからだ。いかにうまくやろうと,音楽が止まったときに必ず何人かは椅子なしになること,どれほど俊敏でも,椅子なしになる人数は変わらないこともわかっている。椅子なしの人を退場させたとき,椅子を減らすのではなく退場者と同数のプレーヤーを加えていけば,退場までにプレーする平均回数を計算することができる。椅子取りが非常にうまくて最後まで退場させられないプレーヤーがいようと,初回で姿を消すプレーヤーがいようと関係なく,平均は数学的に求められる。



トーマス・シェリング 村井章子(訳) (2016). ミクロ動機とマクロ行動 勁草書房 pp. 49-50


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