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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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鉄条網の実験

 これをケニア北部の乾燥地帯で実証することになった。地元民が燃料にするために木を持ち去り,家畜が植生を食い尽くした荒涼とした地域である。ここに,10メートル四方の3つの区画を用意した。


 第1の区画は,4ヵ所に杭を打っただけで何もしない。第2の区画は,この付近の代表的な植林樹種であるユーカリやニームの苗木を植えた。第3の区画は,鉄条網で囲って人と家畜が入れないようにした。そして,地元のNGOの協力で2年間観察した。第1区画は何の変化もなかった。第2区画は村人や家畜が入り込んで,あっという間に苗木が消えて元の木阿弥になった。


 ところが,鉄条網で囲っただけの第3の区画には,一面に草や木が戻ってきて緑の野に変わった。それまでこの一帯では絶滅したと信じられていた野生のオリーブの実生までが現れた。改めて,人と家畜がどれだけ自然を圧迫しているのかを思い知らされた。



石弘之・石紀美子 (2013). 鉄条網の歴史:自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 洋泉社 pp. 251-252


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