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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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自分自身が欺かれる

 興味深いことに,手相占い師や占星術師に関する心理学の研究者は,心霊療法家の中には意識的にいんちきを働く者もいるが,多くは自分の超常的な力を心から信じているという一致した見方をしている。たとえば,ニュージーランド,カンタベリー大学のデニス・ダットン(Dutton, D.:高く評価されているWeb出版誌“Arts and Letters Daily”の編集をしている)は,星占いに魅了されるようになったある若い科学者の話を語っている。友人や客のために星占いをしているとき,彼の占いは「驚くほどよく当たる」といわれていた。しかし,ある満足した客からいつもの熱狂的な反応がかえってきたあとで,誤ってこの客に違う星占いを与えていたことに気づいて,この若い科学者は目をさませられた。彼はすっかり意気消沈して,当惑させられるような認識に達した。「占星術師としての彼のすばらしい成功は,星占いが科学として正当であることを示すものではまったくない。実際,彼は,客から絶えず強化を受け続ける中で星占いの力を心から信じるようになり,腕のよいコールド・リーダーになったのである。もちろん彼は客を欺いていたのであるが,その前に自分自身が錯覚に陥っていた」

J.M.ウッド,M.T.ネゾースキ,S.O.リリエンフェルド,H.N.ガーブ 宮崎謙一(訳) (2006). ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議— 北大路書房 pp.150-151
(Wood, J. M., Nezworski, M. T., Lilienfeld, S. O., & Garb, H. N. (2003). What’s Wrong with the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test. New York: John Wiley & Sons.)
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