忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

読み書きの影響

 人類学者のジャック・グディによれば,読み書き能力は異なる認知スタイルを生じさせる。読み書きをするということは,文字化されたテクストが外部記憶として用いられるという点で,認知的操作を変化させる。たとえば,読み書きによって,計算の途中結果を覚えておく必要のある複雑な数学的演算も可能になる。特定の要点を証明する要素をたくさん書き記すこともできるので,緻密な議論が可能となる。さまざまな概念構造を目に見える形で考えることもできる。このようなにどの点から見ても,読み書きの「メモ帳」の側面は,その長期的「保持」の機能と同じぐらいに重要である。
 文字化された宗教の特徴のいくつかから,この解釈は支持される。たとえば,ユダヤ教の613の戒律(ミツヴァー)や,シュメールやエジプトのテクストに記録された何千もの前兆を列挙するには,明らかに読み書き能力が必要である。複雑な神学,何千もの異なる状況についての儀礼的規定,さまざまな賢人の言行録,神託や道徳的規則の編纂物など,これらはみな,データを貯蔵し引き出すために文字を用いたことの副産物である。

パスカル・ボイヤー 鈴木光太郎・中村潔(訳) (2008). 神はなぜいるのか? NTT出版 p.363
(Boyer, P. (2002). Religion Explained: The Human Instincts that Fashion Gods, Spirits and Ancestors. London: Vintage.)
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]