忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

日本語は劣っている?

 しかしどういうものか日本語にたいする日本人の態度には,未だに日本語は西洋の言語に比べて近代的な社会の運営には適さない,不便で遅れた言語だという考えが強く見られます。扱いの面倒な漢字や仮名をやめて表記を国際性のある簡単なローマ字に変えるべきだとか,英語を第二公用語として採用すべきだといった提案などが跡を絶たないのも,意識無意識のうちに日本語を西洋の言語と比べて違うところを気にしているからなのです。
 しかしこの「劣っているとされる日本語」を日本人が使いながら,あっという間に西洋の学問技術そして経済に追いつき,ところによっては追い抜いてしまったという事実,また日本は今でも世界で最も識字率の高い教育の普及した国であるといった明白な事実があるにも拘らず,それでもなお日本語は能率が悪い,漢字は教育の妨げになると言い立てる人々は,何のことはない,日本が全ての点で西洋と同じでないことに引け目を感じ,そのことが気になって夜も眠れなかった明治大正時代の西洋中毒,西洋心酔病からまだ抜け出られない人々なのです。

鈴木孝夫 (2009). 日本語教のすすめ 新潮社 pp.173-174
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]