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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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認知療法と行動療法のかかわり

 認知療法と行動療法には歴史的なつながりがある。認知療法は,心理学の認知革命と時を同じくして開発されたからである。行動療法の支持者の中でも認知を重視する人はベックの認知療法を受け入れたが,純粋な行動主義を信奉する人々は激しく反発した。こうした人々からの認知的なものに対する批判は強烈だった。また,行動主義者から最初に寄せられた批判の一部は,正統な議論も誤解によるものも含め,現在も続いている。つまり行動主義からの批判は,理論的にも,歴史的にも重要だと言えるのである。
 行動主義者からの批判はベックの認知療法に向けられるものではなく,すべての認知的治療法を対象とする。批判の根本は,行動変容における認知の役割に関する理論的相違にあり,その背景には心理学の「認知革命」がある。行動主義者による批判の背後にある熱意は,認知主義者が,行動療法から分離独立するのでなく,行動療法の顔を(認知行動療法へと)変容させてしまったことに由来する面が大きい。この動きに対して,行動主義のある一派は,認知主義的メンバーをも代表する組織の一員であるよりはと,アメリカ行動療法学会(AABT)を脱退する道を選んだほどである。ウォルピが最初に言ったように「認知は行動の下位集合である」はずなのに,なぜ認知的アプローチが行動主義的アプローチと別のものとして公認されているのかと,その後も困惑したままの会員もいた。

マージョリー・E・ワイスハー 大野 裕(監訳) 岩坂 彰・定延由紀(訳) (2009). アーロン・T・ベック:認知療法の成立と展開 創元社 pp.161-161
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