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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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大人は関与しなかった

 テレビのコメンテーターは,
 「昔はこわいオジサンがいて,子供たちが間違ったことをしていると,自分の子供でなくても注意したものだ」
 と,よくいうが,ぼくの記憶では正反対に思える。
 ぼくが子供のころ,仲間とよく喧嘩をしたが,そんなとき,親が口をだすと,いままで喧嘩をしていた子供たちが一緒になって,
 「子供の喧嘩に親が出る!」
 と,一斉に囃し立てたものだ。
 子供のトラブルは子供で解決する。それがルールになっていた。これは兄弟の場合もおなじで,ぼくは2歳違いの弟と,よく取っ組み合いの喧嘩をした。だが,祖母も母も,よほどのことがないかぎり,とめようともしなかった。
 からだがちいさく非力だったぼくは,弟に負かされ,悔しさのあまり,大の字に寝て,
 「殺せ!殺せ!」
 と,喚くしかない破目に追い込まれることが多かったが,祖母も母も見てみない振りをしていた。弟に負けるのが,ぼくにとっては屈辱だったが,親は一切,関与してくれない。屈辱をぼくは自分で処理するしかなかった。

木谷恭介 (2011). 死にたい老人 幻冬舎 pp.199-200
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