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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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脳トレの効果は

 これまでで最大の実験は,1998年にスタートしたものである。任意に集められた2832人の高齢者が,4グループに分けられた。言葉を記憶するトレーニング,問題解決能力を鍛えるトレーニング,問題処理の速度を上げるトレーニングを,それぞれおこなう3つのグループと,トレーニングをなにもしない対照グループである。この大規模な臨床実験は,国立衛生研究所が後ろ盾になり,多くの大学,病院,研究所の学者たちがおこない,ACTIVE(自立した元気なお年寄りのための認知能力上級トレーニング)テストと命名された。実験では,各グループが6週間強のあいだに,1種類のトレーニングを1時間ずつ10回おこなった。そしてトレーニングのあとに,研究室で出される基本的な問題と,日常的な問題の両方で被験者の能力が試された。ここで期待されたのは,認知能力トレーニングが脳の回転をよくし,べつのトレーニングや日常生活でも成績が上がることだった。
 驚くにはあたらないが,たとえば視覚の探索力を鍛える問題を10時間すれば,視覚探索力がアップする。言葉の記憶を10時間練習すれば,言葉の記憶力が向上する。この実験では被験者(とりわけ問題処理速度のトレーニングを受けた人)の多くが,トレーニング後にたちまち能力が上がり,その効果が何年も持続した。だが向上した能力は,自分が練習した項目にかぎられていた。言葉の記憶力を鍛えてもあなたの問題処理速度は変わらないし,その逆も同様である。

クリストファー・チャブリス&ダニエル・シモンズ 木村博江(訳) (2011). 錯覚の科学 文藝春秋 pp.264-265
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