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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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衰退産業の評価モデル

 盲点を排除するには,たとえばマイケル・ポーターが提案した,衰退産業における評価モデルが参考になる。このモデルはシンプルで,2つの問いかけからできている。ひとつめは,「あなたの属する業界は,衰退に強い構造をもっているか?」。別の言い方をするなら,「あなたの業界は鉄鋼業界のように,収益が減ってもまだ利益をあげられるか?それともかつての写真業界のように,デジタルが大勢を占めればほぼ消えてしまうか?」。2つ目は,「あなたの会社は,まだ残っている需要に対して強い競争力をもっているか?」。言いかえれば「コダックのように,大きなブランド価値があるか?それともブランド力も低コストの組織構造といった資産も欠けているか?」
 あなたの会社に競争力がなく,業界の構造ももろければ,ポーターならこう言うだろう。「売れ,売れ,売れ,できるだけ早く」。もし会社に競争力がなくても,業界の構造がしっかりしているのであれば,こう言うだろう。「事業をばらばらにして売るべきものから選んで売れ」。同時に,「新しい投資や維持費,研究費,広告費などを削りつつ,過去に培った信用を利用して可能な限りキャッシュフローを得るように努めるべし」
 もしあなたの会社がコダックのように,競争力はあっても,業界の構造がもろいようであればこうだ。「もっと収益が高く,今の市場ほど低落の度合いが大きくない隙間(ニッチ)の市場を探せ。そのニッチにどんどん進出しながら,今の市場から撤退しろ」。そしてもし,あなたの会社が競争力も業界の構造も優れているなら,ポーターは言うだろう。「リーダーシップを発揮するべし。コスト面でのリーダーシップを確立し,価格競争のように業界を不安定にする活動は避けるように」
 ポーターによれば,8つの衰退産業に属する企業62社を調査したところ,彼の手法に従った会社の92パーセントがうまく市場に対処できたのに対し,そうしなかった会社で成功を収めたのはわずか15パーセントだった。ポーターの手法はたしかに,企業があらゆる選択肢を考えるうえで役に立つ。

ポール・キャロル,チュンカ・ムイ 谷川 漣(訳) (2011). 7つの危険な徴候:企業はこうして壊れていく 海と月社 pp.120-121
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