忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

窪みカーブ

横軸,つまりx軸は,属が含む種の数を表し,縦軸,つまりy軸は数を表す。このグラフを見れば,種をひとつしか含まない属が,400位上存在することがわかる。2種を含む属は,200より少なく,3種を含む属は,20ほどで,7種以上含む属は,ごくわずかだ。ごらんのとおり,グラフは右下がりの急なカーブを描く。
 このカーブは,その形から「窪みカーブ」と呼ばれ,特に属と種のグラフのそれは,「ウィリスの窪みカーブ」と名づけられている。このカーブについては,1世紀近くにわたって分類学者の間で議論されてきた。彼らは,自分たちがこのようなパターンで種を属に分類する理由がわからなかった。なぜ分類学者は常にこのような分類を行うのだろう。なぜ民俗分類でも同じような分類がなされるのだろう。その答えは環世界にあると,わたしは考えている。わたしたちは,ウィリスのカーブを知っていてもいなくても,まさにそのカーブが描くとおりに,種が属を満たしている様子を,環世界に見ているのだ。そして,分類学者は,他のすべての人と同じく,自らの認知に支配されており,この世界を見るには,自らの環世界を通じて見るしかないのである。

キャロル・キサク・ヨーン 三中信宏・野中香方子(訳) (2013). 自然を名づける:なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか NTT出版 pp.165-166
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]