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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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一般因子「g」

 これらの多岐多様な見解を,適切な心理学理論へと融合したのは,チャールズ・スピアマンである。永年ロンドン大学のユニヴァーシティ・コレッジの心理学教授であったスピアマンは,ゆたかな成果を挙げることになる単純素朴な考えから出発した。彼は,もしすべてを包括しすべてを統合する認知能力,つまりそれによって,ひとがよく理性を働かせ,問題をよく解決し,ものを知るという認知の場において秀でることを可能にさせる能力が存在するならば(スピアマンはこれを一般因子gと名づけたが),この能力をテストするために,難易度の異なる問題を多数案出することができるはずである,と主張した。
 ちょうど同じころに,フランスではアルフレッド・ビネーが,またドイツではヘルマン・エッビングハウスが,同様のテストを工夫していた。それらに対するスピアマンの新しい寄与は,やや単純な統計的な考えだった。簡単に言うならば,この考えとは,ある人びとはどのような認識能力のテストを解答しても,ほかの人びとよりもよくできる--知能という概念そのものが,そういう可能性を暗示していると思われるが--と証明することが,簡単に次の方法により可能である,つまり,無作為に選んだ人びとに,多数のテスト項目を与え,「相関」と呼ばれる過程により,テストの解答やテスト項目を比較検討する,という作業をとるというのである。もしスピアマンの仮説が正しいなら,これらの相関関係はすべて,正の値を持つことになるはずである。すなわち,あるタイプのテストでよい成績を挙げれば,他の種類のテストにおいても同様によい成績を得る可能性がある,ということになる。

H・J・アイゼンク,L・ケイミン 齊藤和明(訳) (1985). 知能は測れるのか--IQ討論 筑摩書房 pp.16-17
(Eysenck, H. J. versus Kamin, L. (1981). Intelligence: The Battle for the Mind. London, Pan Mcmillan.)
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