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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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孤独感の影響力

孤独感の強大な影響力は,3つの複雑な要因の相互作用から生まれる。これからその3要因を掘り下げてみたい。

 1 社会的な断絶に対する弱さ
 私たちはみな,基本的な体格や知的水準を親から受け継ぐ。同じように,社会的帰属に対する欲求の強弱(社会的疎外による苦痛に対する感受性とも言える)も受け継ぐ(いずれの場合であれ,こうした遺伝的な性質が発現する際に周囲の環境が与える影響もまた,きわめて重要だ)。遺伝に根差した,各人に固有のこの性向は,サーモスタットのように自動的に作動し,社会的なつながりに対する各自の欲求が満たされているかどうかによって苦悩のシグナルを発したり止めたりする。
 2 孤立感にまつわる情動を自己調節する能力
 うまく自己調節できるというのは,試練に直面したときに,表面ばかりでなく内面の深くでもしっかりと平静を保っていられることだ。孤独感が募って拭い去れなくなると,この自己調節の能力が損なわれ始める。この「調節不全」は細胞レベルでは,さまざまなストレス要因に対する抵抗力を弱め睡眠のような治癒・回復機能の働きを阻害する。
 3 他者についての心的表象,予期,推論
 私たちはみな,自分なりの見方を通して自分の経験を形作る。ある意味,誰もが自分自身の社会的世界を自ら構築しているのだとも言える。他者とのかかわり合いを解釈することを「社会的認知」という。私たちは孤独感に深くとらわれると,不幸せになり,脅威を感じ,自己調節する能力が損なわれ,それが相まって,自分自身や他者をどう見るか,他者の反応をどう予期するかにも大きな影響が出る。

ジョン・T・カシオッポ&ウィリアム・パトリック 柴田裕之(訳) (2010). 孤独の科学:人はなぜ寂しくなるのか 河出書房新社 pp.29-30
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