悪しき結果が悪しき思考を必ずしも反映しないのとまさに同じように,よき決定は正しい推理を反映するとは限らない。例えば,論理的には無関連な課題特徴に基づいて反応するというバイアスが存在しても,論理的に正しく規定された選択に一致する結果を場合によっては生み出すことがある。それゆえに,原理が組込まれている単一の問題タイプでの遂行成績を査定することによって,ある推論を遂行する能力をもつか否かを単純に判断することはできない。関与する過程の性質,ならびに作用しているバイアスの程度や性質を明らかにするためには,その問題の形式と内容に関する多くの特徴を変化させた上で,推理を研究する必要がある。
エバンズ, J. St. B. T. 中島 実(訳) (1995). 思考情報処理のバイアス 信山社 Pp.2-3
(Evans, J. St. B. T. (1989). Bias in Human Reasoning: Causes and Consequences. Hove, UK: Lawrence Erlbaum Associates.)
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