I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

優生学と「逆淘汰」

一般に優生学では,「劣悪者」が人口に占める比率が増加し,「優秀者」の比率が減少すると人口の質が低下して「民族の変質」を招くと考えられてきた。この現象は「逆淘汰」と呼ばれ,文明化にともないあらゆる民族が経験する本質的問題として深刻に受けとめられていた。生活にゆとりのある「優良健全」な階層における子どもの産み控え,「劣悪者」の高出生率と医療・福祉の発達による死亡率低下,戦争によって壮健な青年の多くが命を落とす結果「優良健全」な者の子孫が減ることなどが,「逆淘汰」の原因とみなされた。
 当時の厚生省が重視したのは,「優良健全」な階層の出生率の向上と「劣悪者」の出生防止であり,戦争の「優生学的弊害」には目をつぶっていた。「民族優生とは何か」では,具体的な優生政策として以下の5項目の「民族優生方策」が挙げられている。

一,民族優生思想の啓発——優生思想の啓発,優生政策の実践指導の継続により,国民のすみずみにまで民族優生を徹底する。
二,民族優生に関する調査研究——遺伝家系図や双子の記録などの収集をはじめとする,国家的研究調査機関の充実。
三,民族毒予防——梅毒,アルコール,麻薬などの「民族毒」による子孫への悪影響の防止。
四,民族優生的多産奨励——健全者の多産奨励。
五,遺伝健康方策——「悪質遺伝質」の根絶(隔離,優生結婚,妊娠中絶,去勢,断種)。

米本昌平・松原洋子・橳島次郎・市野川容孝 (2000). 優生学と人間社会:生命科学の世紀はどこへ向かうのか 講談社 pp. 177-178

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