忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「中絶を失敗」という眼差し

しかし,選択的中絶が個別に行われた結果,出生前診断が可能な特定の病気や障害をもつ子どもの出生が激減する現象が,実際に起こっている。そのために,こうした病気や障害をもって生まれてきた子どもたちは,「中絶を失敗した子ども」,「中絶を怠ったために生まれた子ども」という否定的なまなざしにさらされるとともに,専門医の減少などによって社会的支援が受けにくくなる恐れがある。イギリスの二分脊椎症患者のケースがこれにあたる。また,生殖細胞系列の遺伝子操作を容認すれば,病気の治療にとどまらず,親にとって望ましい性質を増進するように遺伝子を操作する可能性も出てくる。このように,自己決定の結果の集積が優生学的効果をもたらしうることを,われわれは認識しておかなくてはならない。

米本昌平・松原洋子・橳島次郎・市野川容孝 (2000). 優生学と人間社会:生命科学の世紀はどこへ向かうのか 講談社 pp. 235
PR

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]